レジリエンスとは、災害や危機が発生した際に事業を迅速に回復できるよう、平常時から備える考え方を指します。日本の製造業にとって重要な経営課題です。
大規模な自然災害が起こることで、サプライチェーンの寸断や生産停止、部品供給の途絶が起きます。「効率最優先」のスリム化された供給網では危機に弱いことが明らかとなり、強じんで柔軟なサプライチェーンへの転換が求められています。
まず必要なのは、サプライチェーンの全体像を可視化することです。自社の一次下請けだけでなく、その先のグローバル供給網まで把握し、「どの部品をどの企業から調達しているか、代替ルートが存在するかを、平時から確認しておくことが必要です。
近年はIoTやSCMシステムを用いたリアルタイム管理が進んでおり、AIによる需要予測も活用されています。災害時にはサプライヤーの被災状況を素早く把握し、生産・物流のボトルネックを特定して回避策を講じる体制づくりが重要です。
M&A(合併・買収)は、レジリエンスを高める有効な手段として注目されています。従来は日本において事業承継の手段というイメージが強かったものの、近年ではサプライチェーン再構築や新技術獲得など、競争力と持続性を高める戦略的なM&Aが増えています。
取引先企業を買収・引継ぐことで供給網を安定化させる方法です。重要なサプライヤーが後継者不在や経営難で廃業すると、自社の事業継続に影響が出るためです。
中小企業庁はこれを「サプライチェーン事業承継」と定義し、企業自身や支援機関を通じた承継を推進しています。例として、主要部品メーカーが廃業の危機にある場合、完成品メーカーがM&Aで子会社化し、事業を継続させるケースがあります。
M&Aは、供給網全体を再編成し、弱点を補強する機会にもなります。不足する機能や技術を持つ企業を買収すれば、デジタル化や環境対応といった新課題にも対応可能です。
近年は「攻めと守りのM&A」として、大企業が非中核事業を切り離しつつ、必要な新技術を持つ企業を買収する事例が増えています。
M&Aを単なる規模拡大ではなく「レジリエンス向上への投資」と位置づけることが重要です。買収後の統合では文化やシステムの違いから混乱が生じるリスクもありますが、シナジーを発揮できれば結果的に強じん性を高められます。
中堅製造業が持続的に成長するには、レジリエンスの構築が欠かせません。その手段の一つとしてM&Aは有効です。特に中小企業においては、自社単独では困難な課題も、適切なパートナーとの統合により突破口が開けます。
ただし、M&Aの成否は、統合プロセスの準備に大きく左右されます。組織文化や価値観の違いをどう調整し、各社の強みを引き出すかには、入念な準備と長期的な視点が必要です。
自社の未来を見据え、M&Aを通じて頼れるパートナーを見つけましょう。
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