食品加工業界では、国内需要の伸び悩みや後継者不足、海外市場への展開などを背景に、事業拡大・経営の安定化を目的としたM&Aが活発に行われています。
このページでは、食品加工業界におけるM&A事例や動向を紹介し、成功のポイントについて解説します。
国内市場の縮小を背景に、ホクトはきのこの生産・販売に依存しない事業の多角化を推進。2013年に、レトルトパウチ食品を製造するアーデン(伊藤忠商事グループ)を買収しました。
このM&Aにより、食品加工機能を確保し、付加価値の高い商品の開発が可能に。これまで外注していたきのこの水煮製造の一部を内製化できるようになりました。
宮城県で120年以上にわたり温麺を製造してきたきちみ製麺は、後継者不在のためM&Aを決断し、2022年2月に八戸東和薬品へ事業を譲渡しました。
譲渡先の条件としては「異業種であること」を重視。革新的な発想で会社を進化させてくれる相手を求めていました。八戸東和薬品を選んだのは、経営方針や誠意ある姿勢に共感したから。譲渡後は、同社のDX化や業務改善ノウハウを活用し、営業利益を向上させることができました。
後継者不在のため、M&Aによる事業承継を決断した事例です。「地元を大切にしながらも新たな販路を開拓できる企業」を探した結果、京都の発酵食品関連スタートアップ企業PEAKSとマッチング。代表の熱意や誠実な姿勢に惹かれ、事業を託すことができました。
M&Aの過程では、合資会社から株式会社への変更などの苦労もありましたが、スムーズに契約を締結。現在も山本氏は事業のサポートを続け、地域貢献と発展を目指しています。
食品加工業界では、少子化や原材料価格の高騰などにより市場が縮小傾向にあります。このような状況下で、企業は生き残りと成長を目指し、M&Aや事業承継を積極的に活用しています。
近年、中小企業ではM&Aや事業承継を行う企業が増えており※、食品加工業界では異業種からの参入も見られるようになりました。これは、異業種企業が原材料の安定確保や海外展開の足がかりとして、食品加工業への参入を図るケースが増えているためです。
食品加工業界のM&Aや事業承継は、企業の存続と成長に不可欠な戦略です。今後も異業種からの参入や関連企業間での再編が進むと予想され、業界全体の活性化が期待されています。
M&Aや事業承継を成功させるためには、目的や業種に精通した仲介業者を選ぶことが大切です。食品加工業界の場合、製造ラインの特性や衛生管理のノウハウ、取引先との交渉に強い仲介業者を選ぶことで、スムーズに条件調整や契約締結を進められます。
仲介業者の実績にも注目。過去の成功例などから、サポート内容や対応姿勢などを慎重に見極めましょう。買収・売却の目的を明確にしながら、専門家の意見を取り入れて交渉を進めることが成功のポイントです。
このサイトでは製造業のM&Aの成約実例が豊富な、製造業に強い企業をピックアップ。その中で、「シナジー効果の高いM&A」「後継者不足をスピーディーに解決するM&A」「グローバル戦略としてのM&A」とそれぞれの目的にあった仲介業者をご紹介します。