自動車部品業界は、EVシフトやグローバル競争の激化により、M&Aや事業承継が加速。特に、技術革新への対応や市場競争力の強化を目的とした戦略的M&Aの増加により、業界全体の再編が進んでいます。
このページでは、自動車部品業界におけるM&A事例や動向を紹介し、成功のポイントについて解説します。
エンジンや足回り、電装、駆動系に至るまで、幅広い自動車部品の製造を手掛けるSPKは、トランスミッションの修理サービスやリビルトを手掛けるデルオートの株式を取得しました。自動車整備の現場においては、修理コストをできるだけ安価に抑えるためにリビルト品の需要があります。
信頼性に優れた新品パーツ以外にも、安価でコストパフォーマンスの高いリビルトパーツも取り揃えることで幅広いニーズに対応できるようになったSPK。そして、事業規模が大きいSPKの傘下に入ることで経営基盤を安定化できたデルオート。双方にとってメリットの大きいM&Aとなりました。
明石自動車工業は、秋田県大館市で100年続く自動車整備会社です。しかし、地域の生産年齢人口の減少や若年層の県外流出による将来の経営不安から、5年前からM&Aを検討していました。
複数の譲受企業と交渉を重ねる中で、自社より規模の大きいトラックボデーとマッチングし、譲渡を決断。デューデリジェンスでは過去の資料整理などの課題もありましたが、税理士や専門家のサポートのもと、無事成約に至りました。
M&A後も社名は残り、明石氏自身も経営に関与しながら新たなビジネスモデルとの融合を進めています。今回のM&Aにより、地域貢献を継続しつつ、会社のさらなる成長と安定を実現することができました。
大阪府東大阪市の樹脂素材製品メーカー・カツロンは、名古屋セロンと幸輝プラスチック工業の2社とM&Aを実施しました。M&Aの予定はなかったものの、日本M&Aセンターから自動車用部品や樹脂製品を扱う名古屋セロンを提案され、面談を経て譲受を決意。
名古屋セロン側でも後継者不在の課題を抱えており、カツロンとの統合を選択しました。M&Aにより、新たな樹脂素材の取扱いが可能となり、受注範囲が拡大。その後、同じく後継者不在の幸輝プラスチック工業も譲受し、2社の技術や管理体制から多くの学びを得ています。
自動車部品業界では関連企業同士のM&Aが増加。特にEV関連部品やソフトウェア技術を持つ企業との統合が進んでいます。
経済産業省の「2022年経済構造実態調査」によると、自動車関連の出荷額は全体で56.3兆円(全体の17.1%)。このうち自動車本体の出荷額は20.8兆円(6.3%)、自動車部品の出荷額は34.7兆円(10.5%)を占めています。(※) このデータから、自動車部品業界のM&Aは市場規模の大きさに支えられており、特にEVシフトやデジタル化の進展により、既存企業の競争力強化や新規参入のためのM&Aが活発化していることが分かります。
部品の多様性から幅広い事業領域においてM&Aの機会が存在しており、異業種からの参入が進んでいる点も特徴的です。また、自動車部品には統計上別の分類に含まれるばね、ガラス、タイヤ、ねじ、ボルトなどもあり、広義の自動車部品を含めた総出荷額はさらに大きくなる可能性があります。
M&Aを成功させるためには、自社の強みを整理し、適正な企業価値を把握することが重要です。自社事業の魅力を明確にすることで、買い手にとっての価値を高め、より良い条件での交渉が可能になるからです。買収前の詳細な調査に備えて財務状況や契約関係を整理し、透明性を確保することも大切です。M&A後のスムーズな引継ぎを実現したいなら、取引先や従業員との調整を行い、事業の継続性を確保しておきましょう。
こうした準備は非常に専門的で煩雑なため、専門家に依頼するのがおすすめです。M&A仲介会社なら適切な買い手を探し、交渉をサポートしてくれるだけでなく、契約成立までの手続きも支援してくれます。自社業務を継続させながら負担なくM&Aを進めることができるでしょう。自社の目的に合った仲介業者を選び、ぜひM&Aを成功させてください。
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